これはもはや、『読む映画』である
増山実さんの新刊
「波の上のキネマ」
昨日の夜から読み始めたけど
読むのが止められなくて
寝不足。
今日の朝からずっと読んで、
今しがた読み終わりました。
はぁ。すごい読了感。
発売されて以来
あらすじが書かれているのを見るたびに
目をそむけてきた。
なんの前知識もなしに読みたかった。
街の映画館の話を読んで
昔のことを思い出した。
小さい頃、阪急の池田駅にあって、いまはもうどこにあったのかもわからない映画館に、初めて映画を見に行ったときうれしかったなぁ。
大きなスクリーンで見る
キティちゃんとか、ケロッピーに夢中になった。
小さな頃のうろ覚えの記憶が、蘇ってきてとても懐かしい気持ちになった。
宝塚が舞台だった前作「風よ僕らに海の歌を」を読んだ時には、子供の頃よく行った宝塚ファミリーランドを思い出した。
増山さんの本を読むと、懐かしさとか、その時の楽しさとか、いろんな幸せな記憶が湧き上がってくる。
尼崎と別の地名が出てきた時、
『今作は、そこで起きた「あのこと」をメインに書いたんだな、きっと』
と思ったが、全然違った。
そこに行ったことはあるのになぁ。
こんなことがあったとは、
何も知らなかった。
知らない人だらけだと思う。
どうしてこういうものを
題材にかけるんだろう。
これまでの本も全部
ノンフィクションではなく、フィクションの小説を読んでるのに、何度にも及ぶ綿密な取材や事実を元にしているので「こんなことがあったなんて!」といつも驚かされる。
そして、読んでいると
目の前にある風景や、そこにいる人々の様子がありありと映像となって
頭の中に浮かぶ。
一つの同じストーリーを、
読んだ人一人ひとりが
違う映像で見るんだろう。
小学生の時何度も見た
『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』
を、最近またみることがあった。
話はまるで違うけど
この映画を見た時みたいだ。
ハラハラドキドキしたり、心臓がきゅっと縮みそうになったり、人間模様に心が揺さぶられる。
増山さんの本はただの本じゃない。
これはもはや
「読む映画」
だと思う。